原料となる蜂蜜にハスカップ果実を加えて発酵させた蜂蜜酒(以下、「ハスカップミード」)の試作品が完成しました。色はハスカップ果実の紫よりも少し赤みがかった色です。香りにはハスカップの香りが出ています。風味はハスカップの甘さと酸味が前面に出ながら、原ミードの風味も残っています。2つの材料の個性がバランス良く出ています。
材料となったハスカップ果実は中川町から入手しました。ハスカップは北国の果実です。北海道、ロシア、樺太、千島列島に自生しています。(東北地方にも僅かにあると聞いています。)その昔、アイヌが食べていたと言われています。現在、北海道で広く育てられていますが、食品の材料とするために栽培されているのは、千歳市の東にある勇払原野に自生していたものから、樹勢の強い株を選び、育ててきたものです。樹木の高さは150㎝程度、寒さに強く、北海道の冬に耐えます。5月末から6月初めに開花し、その1ヶ月後に結実します。枝に、長さが2~3㎝程度のラグビーボールのような果実が2つ並んで成ります。中川町では長年に亘り栽培されてきました。現在はジャムの材料として使われています。生食もできます。中川町の悩みは、採取に手間がかかる果実ですが、採る人が減っていることです。年によっては成熟した果実が採りきれないこともあるそうです。今年は私古屋が採取を手伝います。
ミードは、蜂蜜、水、そして日本酒酵母だけで作られるシンプルなお酒です。これが、ベリー系を中心とする味が穏やかな果実と合います。原料に混ぜて発酵させるものと(これは醸造酒)、完成した酒に果実分を混ぜるものがあります(これはリキュール)。エンジョイ道北が提供しているのは前者です。製造の工程は、通常の蜂蜜酒と基本的に同じですが、異なる原材料が良く馴染みます。リキュールとした場合、果実種によって、ミードの味、風味の調整に工夫が必要なようです。ハスカップミードを提供するのはエンジョイ道北だけです(まだ試作ですが)。他社では、エンジョイ道北が製造を委託しているディアレットフィールド醸造所が、ブルーベリー、ライチを材料とした果実系ミードを作っています。宮城県のエイト・クラウンズがブルーベリーミードを作っています。変わったところでは、浅草に店舗がある完熟屋がスパイス入り、並びにバラ花の香りを加えた蜂蜜酒を作っています。
蜂蜜酒は、原料蜂蜜の特徴を楽しむお酒です。それに果実が加わると、その果実の特徴と蜂蜜とのハーモニーを味わうことが出来ます。また、果実の特徴が強く出るものとそうでないものがあります。これらの違いを楽しむのが果実系蜂蜜酒の趣きです。この夏にハスカップミードが完成します。もう少しお待ちください。

画像は中川町商工会資料よりお借りしています。